住宅ローンの金利がどのように決まるか、知っていますか?
今回は、変動金利と固定金利で、それぞれの金利が決まる流れを説明します。
今後の金利の動向が気になっている方も多いと思いますが、
まずは、基本的な金利の仕組みを理解することからはじめましょう!
変動金利と固定金利
住宅ローンにもいろいろな商品がありますが、大きく分けて2つあります。
変動金利
半年に1回金利を見直す。それをもとに、5年に1回返済額が変わる。
固定金利
借りた時の金利から変動しない。
どちらの金利も、金融機関が決めていますが、その基準は金融市場によって大きく影響を受けています。
変動金利はどのように決まるか
変動金利は、主に以下のような流れで決まります。
- 日銀が政策金利を決定する
- 短期金融市場で短期金利が変動する
- 短期金利をもとに金融機関が短期プライムレートを決める
- 短期プライムレートをもとに店頭金利が決まる
- 店頭金利から優遇金利を引いたものが適用金利になる
順を追って見ていきます。
1 日銀が政策金利を決定する
政策金利は、中央銀行が景気や物価などの金融政策目標を達成するために設定する短期金利のことです。基本的には、不況のときは金利を下げて金融緩和し、景気が過熱したときは金利を上げて金融引き締めをします。
現在、日銀は短期金利をマイナス0.1%程度で維持しています。アメリカではインフレ抑制のため、5%程度まで引き上げています。
2 短期金融市場で短期金利が変動する
短期金利は、1年未満の資金の貸し借りをする際の金利のことで、短期金融市場で金利の水準が決まります。
しかし、1にあるとおり、多くの場合は中央銀行によって政策金利の水準になるようコントロールされています。
日銀では、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%にすることで、短期金利をマイナス0.1%程度にコントロールしています。
なお、短期金融市場にはいろいろな商品が取引されていますが、中でも「無担保コール翌日物」の金利が、政策金利の指標とされます。
3 短期金利をもとに金融機関が短期プライムレートを決める
短期プライムレートとは、金融機関が1年未満の期間で貸し出す時の最優遇金利のことです。短期金利をもとに決定されます。
各金融機関で決めていますが、どこも横並びで、現在は1.475%です。
ちなみに、この短期プライムレート1.475%は、2009年から変わっていません。
4 短期プライムレートをもとに店頭金利が決まる
各金融機関で、店頭金利を決定します。
店頭金利の多くは「短期プライムレート+1%」となっており、現在は2.475%です。
この店頭金利が適用された場合の住宅ローンの変動金利は、2.475%ということになります。
5 店頭金利から優遇金利を引いたものが適用金利になる
多くの金融機関では、「優遇金利」があり、店頭金利から「優遇金利」が割引されます。優遇金利は、同じ金融機関でも、貸付条件等により異なります。
優遇金利がある場合、実際に適用される金利は店頭金利から優遇金利を割り引いた金利になります。
まとめ 変動金利は短期金利=政策金利によって決まる
以上のように、住宅ローンの変動金利は、最終的に割り引かれる優遇金利によっても変わりますが、その元となる店頭金利は、基本的に短期金利=政策金利によって決まってきます。
政策金利は日銀が決めるため、そう頻繁に変動するものではありません。
日本の短期金利が2009年から変動していないのは、このような理由によるものです。
固定金利はどのように決まるか
固定金利は、主に以下のような流れで決まります。
- 長期金融市場で長期金利が変動する
- 長期金利をもとに金融機関が長期プライムレートを決める
- 長期プライムレートをもとに金融機関が固定金利を決める
長期金融市場で長期金利が変動する
長期金利は、1年以上の資金の貸し借りをする際の金利のことで、長期金融市場で金利の水準が決まります。株式市場や債券市場は、この長期金融市場にあたります。
長期金利は、直近で発行された10年国債の利回りが主な指標となります。
長期金融市場は、多くの市場参加者の需給で変動するため、中央銀行でのコントロールが難しいとされます。
現在日銀では、この長期金利(10年物国債利回り)を1%以内に維持するよう国債の買い入れを行うなどして操作をしています。
2 長期金利をもとに金融機関が長期プライムレートを決める
長期プライムレートとは、金融機関が1年以上の期間で貸し出す時の最優遇金利で、各金融機関が決めます。
みずほ銀行の長期プライムレートが代表的な数値となっていて、現在は1.45%です。
3 長期プライムレートをもとに金融機関が固定金利を決める
固定金利は長期プライムレートが基準となり、現在、1.5%~1.8%程度で推移しています。
固定金利は、長期金融市場の動向で頻繁に変動します。
日銀では、これまで長期金利を0%程度で維持する政策をとってきましたが、少しずつ上限を緩和してきているため、固定金利は上昇傾向にあります。
すでに固定金利で借りている人にとっては、当然、変動しても影響はありませんが、これから住宅ローンを固定金利で借りようとしている人は、長期金利の動向は注意する必要があります。
変動金利で借りている人は短期金利の動向をチェック!
金利決定の仕組みを知れば、注目すべき指標が分かると思います。
現在、変動金利で借りている人にとっては、短期金利(政策金利)の動向が重要です。
これから住宅ローンを借りる人で、変動にするか固定にするか検討している人は、長期金利も含めてチェックする必要があります。
金利については、最近はいろいろなニュースがあり、そのたびに不安になっている人もいるかもしれませんが、仕組みを知って正しく理解できるようにしておきましょう!