要介護・要支援認定者数は、約680万人にのぼります。(2020年度)
これは、65歳以上の人口の約20%にあたり、およそ5人に1人が要介護者になる計算です。
また、介護期間の平均は約5年と言われており、その間に必要となる費用は在宅介護で約600万円です。施設に入所した場合は2000万円以上必要になる可能性もあります。
このように考えている方もいるかもしれませんが、どのような状況の人も、自分が要介護者になったときを想定して備えておく必要があると思います。
今回は、介護に必要な費用などをご紹介します。
他人事と思わずに対策しておきましょう!
介護の期間
- 何歳くらいから要介護者になるのか
- どのくらいの期間、介護が必要なのか
自分が要介護者になったときの備えをするために、まずはこれを考えてみます。
以下のようなデータから推測できます。
要介護者の最も多い年齢層 … 80歳~84歳
介護施設入所者の平均年齢(東京都) … 86歳
平均介護期間(在宅介護) … 約5年1ヶ月
ちなみに、75歳の人の平均余命は、男性で約12年、女性で約15年ですので、
だいたい90歳くらいまで生きるとすると、
80歳くらいで要介護者になり、5年から10年くらいの期間、介護が必要になる。
このように仮定することができます。
在宅介護の費用
次に、介護に必要とされる費用を、在宅介護と施設介護に分けてみていきます。
要介護者のうちの約6割が在宅介護、約4割が施設介護だそうですが、介護をしてくれる人がいる場合は、在宅介護となるケースが多いと思われます。
在宅介護にかかる期間と費用の平均は以下のようになっています。
在宅介護にかかる費用(平均)
一時金 | 約74万円 |
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月額 | 約8.3万円 |
5年間の総額 | 約580万円 |
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以上のように、在宅介護の場合、600万円近い金額が必要と想定できます。
介護施設の費用
介護施設に入所した場合の費用をみていきます。
介護施設の費用は、そのタイプなどによって条件や費用は大きく変わります。
介護施設には、以下のようなタイプの施設があります。
介護施設の種類と主な入所条件
特別養護老人ホーム(公的施設) | 原則は要介護3以上(要介護1、2も可の場合あり) |
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ケアハウス(公的施設) | 一般型は自立~、介護型は要介護1以上 |
住宅型有料老人ホーム | 自立から要介護まで(施設のタイプによる) |
介護付き有料老人ホーム | 自立から要介護まで(施設のタイプによる) |
サービス付き高齢者向け住宅(一般型) | 自立から軽度まで |
サービス付き高齢者向け住宅(介護型) | 自立から要介護まで |
公的施設の場合、費用が安く抑えられるメリットがありますが、入所条件が厳しくなります。また、特別養護老人ホームは、入所待機者が27万人近くいると言われ、地域によっては入所したくてもできないのが現状です。
介護施設の費用(種類別)
介護施設に入所する場合の費用を、施設の種類別にまとめると以下のようになります。
種類 | 初期費用の目安 | 月額の目安 | 5年間の目安 |
特別養護老人ホーム | 0 | 10~15万円 | 約900万円 |
ケアハウス | 0~30万円 | 10~15万円 | 約900万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~数百万円 | 10~30万円 | 約1800万円 |
介護付き有料老人ホーム | 数十~数百万円 | 20~30万円 | 約1800万円 |
サービス付き高齢者向け住宅(一般型) | 数十万円 | 10~30万円 | 約1800万円 |
サービス付き高齢者向け住宅(介護型) | 数十~数百万円 | 20~40万円 | 約2400万円 |
以上はあくまで目安であり、地域や施設により費用や料金体系は様々です。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅だと、「〇年分前払い」という料金体系の施設もあります。その場合、初期費用は数千万円になる場合もあります。
とにかく、年金だけでは足りない可能性も高いということが分かると思います。
在宅介護を希望するのか、施設に入所するのか、どのような施設にするのかなど、自分の希望や将来の想定をして、それに向けた備えをしておくと安心です。
また、これらの平均値は介護保険などの制度を利用した場合のものですので、そのような制度をしっかり活用することも重要です。
まとめ
- 65歳以上の5人に1人が要介護者になっている
- 80歳くらいから、5年~10年の期間、介護が必要になると想定する
- 在宅介護の場合、必要な費用は5年で600万円くらい
- 施設入所の場合、必要な費用は5年で900万円以上
- 年金で足りない分は備えが必要
誰でも要介護者になる可能性があります。
子どもがいる人も、単身の人も、どんな状況の人も全員が備えておく必要がある費用だと思いますので、年金で足りない分はしっかり準備しておきましょう!