知っておきたい

退職金にかかる税金を解説!

もうすぐ退職金をもらうけど、税金もかなりかかるんだよね…?

退職金って金額が大きい分、税金も気になりますよね?

実は退職金にかかる税金は「意外と少ない」と感じる方が多いです。

退職金は「退職所得」として扱われ、大きな控除が受けられます。

もうすぐもらう人も、まだ先の人も、退職金にかかる税金を知っておきましょう!

退職所得とは

退職所得は以下のようなお金のことを言います。

  • 退職手当、一時恩給、その他退職により一時に受ける給与等
  • 退職に起因して社会保険制度に基づいて支払いを受ける一時金
  • 確定拠出年金から支給される老齢給付

iDeCoの一時金受け取りも、この退職所得扱いとなっています。

退職所得の計算

一般の退職金

退職所得は以下のように計算します。

退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額)×1/2

退職金から引かれる「退職所得控除」は次のとおりです。

勤続年数 控除額(障害に起因して退職した場合は+100万円)
20年以下 40万円×勤続年数(80万円未満は80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数の1年未満は切り上げされます。また、休職期間などがあっても含まれます。

このように、勤続年数が大きく関係してくるのが退職所得となります。勤続年数が長いほど、控除も増えて税金がかからなくなります。

なお、過去に退職金をもらっていたり、同じ年に2か所から退職金を受け取る際などは、この勤続年数が重複して控除されないように調整されます。

iDeCoの給付の場合、「積立期間」が勤続年数になります。この場合も、他の退職金と勤続年数が重複しないように調整されます。

特別な退職金

勤続年数5年以下の退職金は、特別な退職金として、一般よりも退職所得が高くなります。

勤続年数が5年以下の役員等に対する退職金

退職所得の金額=(退職金-退職所得控除額)

※一般と違い「1/2」の適用なし

役員等とは

  • 法人の取締役などの役員で、法人の経営に従事している一定の者
  • 国会議員および地方公共団体の議会の議員
  • 国家公務員および地方公務員

勤続年数が5年以下の役員以外の者に対する退職金

(退職金-退職所得控除額)の結果、300万円を超える場合、超えた部分は1/2の適用なし

「役員等」には公務員も含まれているのがポイントです。

役員や議員、公務員の特別職など、4年などの任期で採用、退職を繰り返し、その都度退職金をもらっているようなケースがあり、そういった特殊な退職金を一般の退職金と区別するために設けられています。

退職所得において、この1/2があるかないかはとても大きく、最終的な税金も大きく変わってくることになります。

以上のように算出された退職所得に対し、金額に応じた税率をかけあわせたものが税金として徴収されます。

実際の計算例

勤続年数30年で1500万円の退職金を受け取った場合

退職所得

1500万円-(退職所得控除1500万円)=0円

この場合、所得なしとなるため税金はかかりません。

勤続年数35年で2000万円の退職金を受け取った場合

退職所得

(2000万円-退職所得控除1850万円)×1/2=75万円

退職所得150万円の税率等で計算すると、この2000万円に対してかかる所得税は38,287円となります。

あわせて、住民税が10%で75,000円かかり、トータル113,287円が徴収されます。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出を!

以上の退職所得控除を受けるためには、支払元の会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出する必要があります。

これを提出することで上記の計算がされ、税金が源泉徴収されます。

源泉徴収されるため、原則として確定申告も不要となります。

提出しなかった場合、退職金の額そのものに20.42%の税金が源泉徴収され、確定申告により清算する必要がでてきますのでご注意ください。

退職所得控除が見直される?

このように、退職金には大きな控除が適用されるため、金額に対して徴収される税金が少なく感じる方が多いです。

また、iDeCoの一時金も退職所得扱いとなるため、優遇されている制度といえます。

ただし、この退職所得控除を、今後「勤続年数に関係なく一律」などに見直す検討もされているようです。

今後の税制改正で変わる可能性もあります。注目しておきましょう。