自動車を購入するときは、自賠責保険に必ず加入します。また、約9割の人が任意保険にも加入しています。
しかし、なんとなく保険に加入していて、内容の確認や、保険料の比較などはしていない人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな自動車保険について解説します。
強制加入の「自賠責保険」
対人事故のみ保障の対象となります。
被害者1人に対して支払われる保険金の上限
死亡保険金 | 3000万円または後遺障害保険金4000万円 |
傷害保険 | 120万円 |
重過失減額というものがあります。
減額される割合
被害者の過失割合 | 死亡保険金の減額割合 | 傷害保険金の減額割合※ |
7割未満 | 減額なし | 減額なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
9割以上10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
※傷害による損害額が20万円未満の場合はその額が減額される。
自賠責保険の保険料
車種や保険期間に応じて細かく定められています。
保険会社、運転者の年齢などで差はありません。
24ヶ月の保険料で、おおむね1万円~5万円程度となります。
保険金が支払われる「被害者」とは
自賠責保険は「運行供用者の他人である被害者」に対して支払われます。
この「他人」に該当するかどうかは、事故の状況により判断されます。
ちなみに運行供用者とは主に以下のような人です。
加害自動車を運転または運行指示、制御できる者
加害自動車の保有者
このように、運転手以外も運行供用者としてみなされる事があるため、同乗していてケガをした場合などは支払われない場合もあります。
なお、被害者が親族であっても、この「他人」に該当すれば保険金が支払われます。
一方、後述する任意保険では、被害者が「父母、配偶者、子」の場合は補償されません。
任意加入の「任意保険」
任意保険の加入者は年々増加しています。
2011年では8割弱だった加入率は、2021年時点で約9割まで上昇しました。
(損害保険料率算出機構、2021年)
任意保険の主な内容
対人賠償保険 | 他人を死傷させた場合の損害賠償金について、自賠責保険の不足額を補填する。 |
対物賠償保険 | 他人の物を壊した場合の損害賠償金を補填する。 |
保険金の上限は、一般的に「無制限」となっている場合が多いです。
任意保険の主な特約
任意保険には「対人・対物」以外に様々な特約があります。
主な特約
自損事故保険 | 自賠責では補償されないような「搭乗者」に対する補償。 |
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搭乗者傷害保険 | 搭乗者全員の死傷による損害を補償。 |
無保険車傷害保険 | 被保険者の死亡や、事故相手が無保険だった場合の補償。 |
車両保険 | 車両損害に対する補償。 |
人身傷害補償保険 | 被保険者の死傷に対しての補償。他の自動車や歩行中の事故にも対応。 |
その他、弁護士費用特約などもあります。
特約や補償内容は商品によって違うため、よく比較して加入することをおすすめします。
任意保険の保険料
保険料は保険金額や車種により異なります。年齢、免許証の色、走行距離、地域など、リスクに応じて割引率も異なります。
また、多くの場合が「ノンフリート契約」となり、ノンフリート等級によっても割引率が変わります。
ノンフリート等級
契約台数が9台以下の場合、等級別に保険料が割引となります。
この等級を「ノンフリート等級」といい、等級が高いほど割引率も高くなります。
ノンフリート等級
等級 | 1等級~20等級。初めての加入は6等級から開始。 |
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等級アップ | 1年間無事故だと1等級アップ。特約のみ使用した場合もノーカウント事故として1等級アップ。 |
等級ダウン | 対人対物事故で保険を使うと3等級ダウン、車両保険のみ使った場合は1等級ダウン。 |
等級の引き継ぎ
新たに保険契約をするとき、前の保険の等級を引き継げます。保険会社が異なる場合でも引き継ぐことができます。
(共済など一部の保険ではできない場合もあります。)
また、売却や廃車などで保険契約を終了する場合、中断証明書の発行を受けることで、10年間は以前の等級を引き継ぐことができます。
保険料と特約の比較を!
任意保険を選ぶときは、保険料を比較しましょう。一般的に、ネット通販型の保険は保険料が安い傾向にあります。
ただし、前述の特約など補償内容とあわせて検討することが必要です。
自動車保険の見直しは、大きな固定費の節約につながるかもしれません。
なんとなく加入せず、しっかり比較しましょう!