知っておきたい

消費者物価指数(CPI)を知ろう!

物価上昇のニュースでよく聞く消費者物価指数ってなに?

最近、物価が上昇し続けていますが、それとあわせて「消費者物価指数」という言葉も耳にするようになりました。

消費者物価指数は「CPI」とも呼ばれます。簡単に言うと、物価の動きを表した指標であり、景気動向の判断に利用されたりします。

言葉の意味を知ると、経済や社会情勢に興味がわいてくると思いますので、今回はこの消費者物価指数について学んでいきましょう!

消費者物価指数(CPI)の概要

消費者物価指数(CPI)とは

日常生活で消費者が購入する商品、サービス価格の動きを比率として表した数値

このように、ある時点と比べて物価が上昇したか下落したかを数値化しています。

CPIは総務省が毎月、調査作成をしています。

CPIは経済政策にとって重要な指標であり、「経済の体温計」とも表現されています。

消費者物価指数(CPI)に含まれる品目

CPIには日常購入する食料品、衣料品、電気製品などの財の価格の動きのほかに、家賃、通信料、授業料、理髪料などのサービスの価格の動きも含まれています。

一方、所得税、住民税、社会保険料などの非消費支出は含まれません。また、預貯金、保険料、有価証券、土地や住宅購入など貯蓄及び財産購入のための支出も含まれません。

住宅購入の支出は含まれませんが、持ち家を貸家とみなした場合の家賃相当額など、日常の消費とみなされる費用は含まれます。

また、消費税は商品価格の一部として含まれますので、消費税が上がるとCPIも上昇することになります。

消費者物価指数(CPI)に含まれるもの

  • 食料品、衣料品、電気製品、家賃、通信料、授業料、理髪料 など
  • 消費税

消費者物価指数(CPI)に含まれないもの

  • 所得税、住民税、社会保険料などの非消費支出
  • 貯蓄及び財産購入のための支出

この中から、米、パン、牛乳などさらに細かく品目を選定して調査しています。

品目の選定には、同じく総務省の「家計調査」などを利用して、より重要で代表的な品目が選ばれるようになっています。

2020年の基準では、582品目が指数に採用されています。

この品目は、5年ごとに見直しがされます。

コアCPI

消費者物価指数(CPI)から「生鮮食品」を除いたものを「コアCPI」といいます。生鮮食品は季節で価格変動が大きいため、このコアCPIのほうが重要とされています。また、CPIから「エネルギー、食料品」を除いたものを「コアコアCPI」と呼びます。

消費者物価指数(CPI)の調査方法

消費者物価指数は定点観測をしていくため、

  • 毎月決まった日
  • 品目ごとに決まった銘柄(「明治ミルクチョコレート」など)
  • 実際に販売している消費税込み価格(特売価格などは除く)

を調査して作成していきます。

価格の調査には「小売物価統計調査」を利用していて、全国約2万7千店の代表的な小売店が調査対象になっています。

また、デジタル家電や航空運賃など、インターネット販売価格を使用している品目もあります。

消費者物価指数(CPI)の見方

では、直近の消費者物価指数の公表値を見てみましょう。

2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年2月分

総合指数は2020年を100として104.0

(前年同月比は3.3%の上昇)

生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は103.6

(前年同月比は3.1%の上昇)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は102.6

(前年同月比は3.5%の上昇)

CPIは基準年を100とした値で示されます。

総合指数は、前年の同月と比較してこの数値が3.3%上昇したということになります。

前年同月比の推移(1年間)

総合指数の前年同月比の上昇推移を見てみます。

2023年2月 3.3%
2023年1月 4.3%
2022年12月 4.0%
2022年11月 3.8%
2022年10月 3.7%
2022年9月 3.0%

前年と比べて、高い上昇率が継続していることが分かります。

2022年12月に記録した4.0%は41年ぶりの上昇率だそうです。

ちなみに、米国のCPIは2022年8月に+8.3%を記録し、現在も約6%の上昇が続いています。

消費者物価指数(CPI)は何に利用される?

このCPIは、様々なものに利用されています。

日銀の目標はコアCPI+2%

日銀は現在、物価上昇率+2%を目標としています。

この2%は、コアCPIの前年比の数値です。

この目標値にあわせて金融政策がとられています。

その他様々な場面で利用される

  • 厚生年金、国民年金の年金額改定
  • 土地の価格に係る修正率
  • 児童扶養手当の金額改定 など

また、CPIの発表前後は株式相場が変動したりと、まさに経済の体温計として重要な指標となっています。

おわりに

経済指標には様々なものがありますが、この消費者物価指数(CPI)はその中でも特に重要とされています。

特に米国をはじめとした主要国のCPIは、各国の中央銀行の政策に影響を与えるため、非常に注目される数値です。

日本のCPIだけでなく、米国などのCPIにも目を向けてみてください。